美咲の曼荼羅ブログ

人間と自然、日本と世界、地球と地域、女と男などの臨界点を見据えながら、日々の出来事を綴るブログ

宇宙で初めて咲いた花

美咲です。

さて、前回登場したヴァレンティン・レベデフ元ソ連宇宙飛行士ですが、初めて宇宙で植物を開花させた方でもあります。

その花の名前は、アラビドプシスです。*1

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/91/Arabidopsis_thaliana-flower.jpg

画像典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/91/Arabidopsis_thaliana-flower.jpg

日本語名では、シロイヌナズナ(学名:Arabidopsis thaliana)といいます。アブラナ科シロイヌナズナ属の一年草です。

レベデフと211日間宇宙に共同飛行したベレゾボイ元宇宙飛行士は後に、”レベデフは、これまで植物を育てたことがなかった。しかし宇宙ステーションでは、毎朝目が開くか開かないうちに、「オアシス」装置のところへ急ぐのだった。彼はそこに、豆とカラスムギを植えていた”と語っていたそうです。*2

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レベデフ(左)とベレゾボイ(右)

画像出典:http://12apr.su/books/item/f00/s00/z0000041/st015.shtml

 

レベデフはこの「オアシス」装置について、宇宙日記に次のように1982年に記しておられます。

<レベデフの宇宙日記より>

九月十日

私たちの菜園で植物の芽が出始めた。まだどの芽がどの植物であるかは見分けがつかない。キュウリを除いて全部同じように見える。ハリヂサ、コエンドロ、ダイコン、キュウリ、トマトなど全部で十二種類の種をまいた。エンドウ豆とコムギはオアシスで発芽した。エンドウ豆が成長するのを観察するのは楽しい。この頑丈な奴らが強靭な茎と葉をしっかりと包み込んで土から現れてくる。コムギはあたかも緑の光線のように急速に伸びる。これらの新芽を手のひらで触れることはこのうえもなく楽しい。くすぐったい感じが何ともいえなかった。「こころの進化ー【宇宙意識】への目覚め」フォレスト出版 P188 井上昭夫著

この宇宙菜園がレベデフにとって、”いやし”であったことがこの宇宙日記の記述より感じ取られますね。植物との交流は、ストレスの多い長い宇宙飛行の間の貴重ないやしだったのです。なお、この宇宙日記の和訳本があるわけでなく、英訳本を著者の井上氏がコンラッド元米国宇宙飛行士より取り寄せて、初めて部分的に和訳されました。著者に了解をとり、ここは長く引用させていただいています。

レベデフによると、アラビドプシスは地上の植物の中では、最短期間の五十数日間で種から種への成長を完了させるそうなのです。ですから彼はこの種子を実験用に選んで宇宙に持参し、「宇宙菜園」で見事に開花させたというわけです。

レベデフはこのアラビドプシスを開花させたエピソードを次のように宇宙日記に記録しています。

八月二十日

ー今日はソユーズT-7号宇宙船で訪れる搭乗員の到着するのを待った。私たちは船内を整頓し、小便を廃棄物容器にポンプで移しかえたり、寝袋をハンガーにかけたりした。そして夕方すばらしいディナーを用意した。

 ハッチを開けた。アレクセイ・ポポプが最初に入ってきた。つづいてアレキサンダーセレブロフが遊泳侵入してきた。私たちはお互い抱き合ってあいさつをした。スベタ(スベトラーナ・サビツカヤ)はまだ入って来ない。彼らが乗って来た宇宙船の中をのぞき込むと、ドッキング部分で彼女は座りながら髪の毛をくしでといていた。私たちが呼ぶと、彼女は私たちの方に遊泳接近して来た。私たちは抱擁し、再会を記念して写真を撮った。彼らは船中を遊泳して、船内が清潔に保たれ、しかも臭いもないことに驚いた。スベタに、その先端に小さな壊れそうな花弁をつけている、アラビドプシス という植物を進呈した。私たちはこの植物は、宇宙空間で種から種へと完全な成長サイクルを完了した、はじめての植物であると説明した。宇宙に人類が居住する象徴として、私たちの宇宙船を訪れた最初の女性には、宇宙で最初に咲いた花を進呈するのがふさわしいと思えたからだ。「こころの進化ー【宇宙意識】への目覚め」フォレスト出版 P190 井上昭夫著

 宇宙で最初に咲いた白い花、アラビドプシスを受け取ったサビツカヤは、この飛行で1963年にヴォシュトーク号で飛んだテレシコワに次ぐ、女性で二番目の宇宙飛行士となったということです。私はロシア人の男性と会ったことはないのですが、こういった心遣いを女性にできるなんて、素敵な方々だなぁと心より思いました。やはり、女性として宇宙で最初に咲いた花を進呈されるなんて、とても嬉しいことですよね。

http://www.collectspace.com/images/news-092014c-lg.jpg 

右がサビツカヤ。ベレゾボイと。

画像出典:Soviet-era cosmonaut Anatoly Berezovoy, commanded Salyut space station, dies | collectSPACE

 ゲオルギ・グレチコ元宇宙飛行士は130日間宇宙滞在を経験されていますが、宇宙菜園についてこのように述べていました。どうやら宇宙菜園は心の治療にもなっていたようです。

ー地球上の生命を育てているこの宇宙船の菜園が、どんなに大きな楽しみだったか、なかなか分かってもらえないだろう。菜園を見に行くとき、”さあ、森へ散歩に行こう”と言ったりしたものだ。地球の緑を見て育ったわれわれは、植物のそばで横になるだけで、心が和んだ。

「こころの進化ー【宇宙意識】への目覚め」p191 フォレスト出版 井上昭夫著

 ”宇宙菜園に森を感じながら”ふと眼下の地球を見ると、そこにはダイナミックに四季を変化させている地球の絵模様があった・・・。宇宙飛行士たちはそのときミクロとマクロの世界を見ていたのです。

宇宙菜園は、宇宙飛行士たちにとって、魂の癒しだったのだと思います。私も庭いじりで気持ちがすっきりすることがありますから、植物との交流がいやしになるという感覚はよく分かります。

まあ、でも、自分で花を育てるのもいいですが、花をプレゼントしてもらえるのも好きですねー♡

んじゃねー!

*1:「こころの進化ー【宇宙意識】への目覚め」p188 フォレスト出版 井上昭夫著

*2:「こころの進化ー【宇宙意識】への目覚め」p188 フォレスト出版 井上昭夫著